写経を始めよう!意味が分かればより面白い。般若心経(はんにゃしんぎょう)の読み方と現代語訳。

2024年7月22日

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写経は清浄な心を求める修行なので、一字一字丁寧に写していくことが大切です。単純になぞっていくだけでも思っているより時間のかかるものです。

写経のためにまとまった時間を取ることが難しい人もいると思います。そんな方は一文や語句を切り取りながら取り組むと良いですよ!

大切なのは真心を込めて書くという心がけですからね。

写経

写経とはお経を自分の手で書き写すことです。

日常の中の煩悩を打ち消し、穏やかな気持ちになりますよ。

書式等

内題お経のタイトルを書きます。
右端を一行あけるのが一般的です。
「摩訶般若波羅密多心経」
本文一行は17字詰めで書くのが決まりです。
しかし最後から2行目の18文字は1行におさめます。
「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提娑婆呵」
奥題お経のタイトルを省略して記入します。
「般若心経」
願文「為」「右為」と書いてから、お祈りの内容を記入。
奥題との間を1行あけたり、氏名・日付の後に書くことも。
その下に「也」を書く場合もあります。
氏名・日付氏名と写経した日を記入します。
氏名の前に「写経願主」と書いたり、
下に「敬写」「謹写」と書く場合もあります。

写経の文字には現代漢字に近いものと、写経体の2種類があります。

写経体では同じ漢字が複数ある場合に、バランスを考えて違う書体で書くことがあります。知らない場合、これって間違っているのでは?と思いますよね。

ネコ

知っているとなかなかの写経通ですぞ!

注意事項

小筆は穂先がまとまっていて、弾力性のあるものが書きやすいです。筆文字らしいきれいな形を出すには、穂先が柔らかくとがったものが向いています。

小筆や筆ペンの持ち方はいつもの持ち方で大丈夫ですが、軸が寝てしまわないように、縦気味に持つと書きやすいです。

筆の腹ではなく、穂先で書くことを意識しましょう。

姿勢は前かがみになりがちですが、背筋を伸ばして頭を下げすぎないようにしましょうね。

般若心経

般若心経は262文字のお経です。重複する文字を除くと【117文字】あります。

読みと現代訳

・摩訶般若波羅密多心経(まかはんにゃはらみったしんきょう)

素晴らしい仏さまの智慧の精髄を教えたお経

・観自在菩薩(かんじざいぼさつ)

観音様は

・行深般若波羅蜜多時(ぎょうじんはんにゃはらみったじ)

深い仏さまの智慧を実践されましたが、その時に、

・照見五蘊皆空(しょうけんごうんかいくう)

肉体も精神も全てが空(実体のないこと)であることが分かって、

・度一切苦厄(どいっさいくやく)

全ての苦しみと災難を克服されました。

・舎利子(しゃりし)

舎利子よ、

・色不異空(しきふいくう)

物質は空(くう)と同じことであり、

・空不異色(くうふいしき)

空がそのまま物質にほかならないのです。

・色即是空(しきそくぜくう)

物質がすなわち空であり、

・空即是色(くうそくぜしき)

空がすなわち物質なのです。

・受想行識(じゅそうぎょうしき)

感じたり、知ったり、意欲したり、判断したりする、

・亦復如是(やくぶにょぜ)

4つの精神の働きも全く同じことなのです。

・舎利子(しゃりし)

舎利子よ。

・是諸法空相(ぜしょほうくうそう)

このように物質と精神には空という性質がありますから、

・不生不滅(ふしょうふめつ)

もともと生じたり減したりすることはなく、

・不垢不浄(ふくふじょう)

汚いとかきれいとかいうこともなく、

・不増不減(ふぞうふげん)

増えも減りもしないのです。

・是故空中無色(ぜこくうちゅうむしき)

したがって空の中には肉体も無く、

・無受想行識(むじゅそうぎょうしき)

感じたり、知ったり、意欲したり、判断したりする4つの精神の働きも無く、

・無眼耳鼻舌身意(むげんにびぜつしんに)

眼(げん)・耳(に)・舌(び)・身(しん)・意(に)といった感覚器官はありませんし、

・無色声香味触法(むしきしょうこうみそくほう)

感覚器官の対象の色(しき)・声(しょう)・香(こう)・味(み)・触(そく)・法(ほう)もありません。

・無眼界(むげんかい)

感覚器官やその対象、

・乃至無意識界(ないしむいしきかい)

それらの接触から生じる認識の世界全てがないのです。

・無無明(むむみょう)

智慧がなくなることもなければ、

・亦無無明尽(やくむむみょうじん)

智慧のない状態がなくなってしまうこともありません。

・乃至無老死(ないしむろうし)

老いて死ぬこともなければ、

・亦無老死尽(やくむろうしじん)

老いて死ぬことが尽きることもありません。

・無苦集滅道(むくじゅうめつどう)無智亦無得(むちやくむとく)

4つの真理として説かれてきた苦(く)・集(じゅう)・滅(めつ)・道(どう)というものもありません。

・以無所得故(いむしょとくこ)

それは得るということがもともとないからです。

・菩提薩埵(ぼだいさった)依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)

菩薩さまは仏さまの智慧を実践していますので、

・心無罣礙(しんむけいげ)

その心は何ものにも執着しませんし、こだわりがありません。

・無罣礙故(むけいげこ)無有恐怖(むうくふ)

こだわりがないので、何かに怯えることもなく、

・遠離一切顛倒夢想(おんりいっさいてんどうむそう)

物事を逆さまにとらえたり、妄想に悩まされることもなく、

・究竟涅槃(くきょうねはん)

心は徹底した平安な境地にあるのです。

・三世諸仏(さんぜしょぶつ)

過去・現在・未来の三世にまします諸仏も、

・依般若波羅蜜多故(えはんにゃはらみったこ)

この仏さまの智慧を実践され、

・得阿耨多羅三藐三菩提(とくあのくたらさんみゃくさんぼだい)

この上ない正しい完全な悟りをひらかれたのです。

・故知般若波羅蜜多(こちはんにゃはらみった)

従ってこのように言えるでしょう。仏さまの智慧は、

・是大神呪(ぜだいじんしゅ)

素晴らしい霊力のある真実の言葉であり、

・是大明呪(ぜだいみょうしゅ)

優れた真言で、

・是無上呪(ぜむじょうしゅ)

この上のない真言であり、

・是無等等呪(ぜむとうどうしゅ)

比べるもののない真言なのです。

・能除一切苦(のうじょいっさいく)

それらはあらゆる苦しみを消滅させてくれます。

・真実不虚(しんじつふこ)

真実であり、絶対に虚妄(きょもう)ではありません。

・故説般若波羅蜜多呪(こせつはんにゃはらみったしゅ)

そこで最後に、仏さまの智慧の真言を説きます。

・即説呪曰(そくせつしゅわつ)

すなわちこれが真実です。

・羯諦羯諦(ぎゃていぎゃてい)波羅羯諦(はらぎゃてい)

行き、進んで、彼岸に到達した者よ。

・波羅僧羯諦(はらそうぎゃてい)

完全に彼岸に到着した者よ。

・菩提娑婆呵(ぼぢそわか)

悟りあれ、幸あれ。

・般若心経(はんにゃしんぎょう)

素晴らしい仏さまの智慧の精髄を教えたお経をここに終える。

言葉辞典

般若智慧
摩訶大きな、素晴らしい
菩薩仏様になるために悟りを求め修行している人
照見見極める、理解する
舎利子お釈迦様の一番弟子
即是すなわち

私たちは目や耳などの感覚器官で外界のものを感じ、それを元に様々なことを考えて生きています。この活動を【五蘊(ごうん)】といい、色(しき)・受(じゅ)・想(そう)・行(ぎょう)・識(しき)が含まれます。