四国霊場の本尊を知りたい。本尊とは?本尊の種類は?どのような仏様のことをさす?

2023年2月10日

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ご本尊には、如来・菩薩・明王・天の四種類があります。

如来(にょらい)

如来とは「かくの如く来る」に由来するとされ「如」は真実をさし、真実の世界から来たるものという意味で仏陀のことです。

釈迦如来(しゃかにょらい)

悟りを開いた釈迦の姿をあらわしている仏様です。

1番霊山寺・3番金泉寺・49番浄土寺・73番出釋迦寺

特徴

パンチパーマのような「螺髪(らはつ)」、コブのように盛り上がった頭上の「肉髻(にっけい)」、眉間にある渦巻き状の毛「白毫(びゃくごう)」、手や足の長い指、丸みを帯びた肩など釈迦の体の特徴があらわされている。

釈迦如来は最もはじめにつくられた仏像で、こうした特徴はほかの如来にも継承されている。

「印相」と呼ばれる手のポーズをとっている。

右手。肘をまげて右手を胸あたりに上げ、開いた手のひらを前に見せている形(施無畏印せむいいん)には「怖がらなくてもいいですよ」の意味が有る。

左手。下げたまま手のひらを見せている形(与願印よがんいん)には「願いにこたえよう」の意味が有る。

阿弥陀如来(あみだにょらい)

西方極楽浄土に住んでいる、現世に生きる人々を救う仏様です。「南無阿弥陀仏」と唱えることによって、極楽浄土に導いてくれるといいます。

2番極楽寺

2番極楽寺・7番十楽寺・30番善楽寺・37番岩本寺・47番八坂寺・53番円明寺・57番永福寺・64番前神寺・68番神恵院・78番郷照寺

臨終の際に極楽浄土から菩薩や天を従えてやってくるとされています。

末法の世とされた平安時代後期から鎌倉時代に特に注目され、南無阿弥陀仏を唱えれば極楽浄土に往生できるという阿弥陀信仰が流行しました。

阿弥陀如来の特徴は「九品来迎印(くぼんらいごういん)と呼ばれる独特の印相。

全部で上品上生(じょうぼんじょうしょう)、上品中生(じょうぼんちゅうしょう)、上品下生(じょうぼんげしょう)、中品上生(ちゅうぼんじょうしょう)、中品中生、中品下生、下品上生(げぼんじょうしょう)、下品中生、下品下生の九種類あり、極楽浄土から迎えに来た際その信仰の深さによって印相は変わる。

最高位の「上品上生」は親指と人差し指でそれぞれ輪を作り両手を組み合わせます。

薬師如来(やくしにょらい)

東方浄瑠璃浄土に住み、医薬をつかさどり人々の病気を治し延命を施してくれる仏様です。医療が進んでいない時代において、あらゆる病に効能があるとされたこの「お薬師さん」は人々の信仰を広く集めました。

12番焼山寺

四国88カ所霊場の中では最も多く、下記の24の霊場で本尊となっています。

6番安楽寺・11番藤井寺・15番国分寺・17番井戸寺・18番恩山寺・22番平等寺・23番薬王寺・26番金剛頂寺・33番雪蹊寺・34番種間寺・35番清瀧寺・37番岩本寺・39番延光寺・40番観自在寺・46番浄瑠璃寺・50番繁多寺・51番石手寺・59番国分寺・67番大興寺・74番甲山寺・75番善通寺・76番金倉寺・77番道隆寺・88番大窪寺

現世利益をもたらす如来の代表格。右手は肘をまげて右手を胸あたりに上げ、開いた手のひらを前に見せている形(施無畏印せむいいん)には「怖がらなくてもいいですよ」の意味が有る。

左手に薬壺を持っているのが特徴です。脇に日光菩薩と月光菩薩を従えている場合も多い。

大日如来(だいにちにょらい)

大日如来は密教の教主で、宇宙の真理そのものとされる仏様です。すなわち密教の教えでは、宇宙の中心にいる最高の存在なのです。「日」は太陽をはるかに超越して、全ての人々を仏の心で照らすことから大日と名付けられたと言います。

4番大日寺・28番大日寺・42番仏木寺・60番横峰寺・61番香園寺・72番曼荼羅寺

他の如来と違い宝冠や腕輪などの装飾具が見られます。

また二つの姿を持ち、叡智の象徴の金剛界大日如来は立てた左手人差し指を右手で握る「智拳印(ちけんいん)」を結び、慈悲の象徴の胎蔵界大日如来は腹の前で両手を重ね、親指の先を合わせる「法界定印(ほっかいじょういん)」を結んでいます。

涅槃釈迦如来(ねはんしゃかにょらい)

頭を北にして横たわり、顔を西に向けた釈迦の入滅の姿を現している釈迦如来です。

9番法輪寺

涅槃釈迦如来像は横になっている唯一の仏像で、その周囲には菩薩などが並べられます。

第9番札所法輪寺本尊の涅槃釈迦如来像の周辺には、菩薩の他に釈迦を慕う動物たちの像も安置されています。

大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)

大乗仏教の重要経典である「法華経」に登場する仏様です。五穀豊穣をかなえるといい、大山積神の本地仏。

55番南光坊

「法華経」の化城喩品(けじょうゆほん)第七の中で、「昔ある国の王が修行の末に悟りを開き、大通智勝如来という仏になった」という説話が出てきます。王には十六人の王子がいてその内の一人が釈迦だとされています。

かつては瀬戸内海の大三島にある大山衹(おおやまづみ)神社の本地仏で、「河野水軍」で知られる伊予の豪族・河野氏から厚く信仰されていたが、明治時代の廃仏毀釈によって別当寺の南光坊に移されてその本尊となっています。

菩薩(ぼさつ)

十一面観世音菩薩

人々の悩みや苦しみを除いて救済してくれる変化観音(観音菩薩が人々の救いの声に応じて姿をかえたもの)です。

13番大日寺・27番神峯寺・32番禅師峰寺・41番龍光寺・44番大寶寺・48番西林寺・52番太山寺・62番宝寿寺・65番三角寺・79番天皇寺・84番屋島寺・86番志度寺

本体の顔とは別に頭上に十個の顔(十一個ある場合もあり)があり、穏やかな面や怒りに満ちた面などが見られます。

頭頂にひとつある小さな顔は如来の顔です。手が二本の立像がほとんどで、右手を下げ左手に水瓶(すいびょう)を持っていることが多い。

千手観世音菩薩

千本の手と、それぞれの手のひらについた千の目で無限の人々に慈悲をもたらす変化観音です。

8番熊谷寺・10番切幡寺・16番観音寺・29番国分寺・38番金剛福寺・43番明石寺・58番仙遊寺・66番雲辺寺・71番弥谷寺・80番国分寺・81番白峯寺・82番根香寺

像として作られる場合は、合掌する2本の手の他に、40本の手を備えていることが多い。

手には宝経(ほうきょう)、数珠、錫杖(しゃくじょう)、宝剣、羂索など様々なものを持ち、人々の多様な悩みに対応できるように表現されています。

地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

釈迦入滅から56億7千万年後に弥勒菩薩があられるまでの期間、六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)の人々を救済する菩薩です。

5番地蔵寺・19番立江寺・20番鶴林寺・25番津照寺・37番岩本寺・56番泰山寺

剃髪した僧侶の姿で右手に錫杖を持ち(与願印の場合もある)、左手に宝珠を持っています。

日本へは奈良時代に伝来し、平安時代後期から人気が出ました。道祖神信仰と融合して、道端に石地蔵が祀られるようになりました。

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

虚空が全てのものを無限に蔵するがごとく、広大無辺の知恵と功徳で人々の願いをかなえる仏様です。

12番焼山寺・21番太龍寺・24番最御崎寺

若き日の弘法大師はこの仏尊を本尊とする「虚空蔵求聞持法」を知って、本格的に仏の道を志しました。五智宝冠を頂き、右手に宝剣(与願印の場合もあり)、左手に宝珠を載せた蓮華を持つのが基本のスタイルです。

馬頭観世音菩薩

十一面観音や千手観音と同様、観音菩薩が姿をかえてあらわれた変化観音です。

70番本山寺

馬が草をむさぼるように煩悩や災いを食べつくすとされています。

頭上の馬の頭、額の中央の第三の目、胸の前で組んだ「馬口印(ばこういん)」と呼ばれる変わった印相など特徴がいくつもあり、顔には他の菩薩には見られない憤怒の表情を浮かべています。

形は様々で、一面二臂、三面六臂、三面八臂、四面八臂などが見られます。その姿から馬の守り神として崇(あが)められることもあります。

文殊菩薩(もんじゅぼさつ)

「三人集まれば文殊の知恵」のことわざでお馴染みの般若(悟りを得る智慧)を象徴とする菩薩です。

その智力で人々を悟りの世界に導くとともに、物事を判断する知恵を授けてくれます。

31番竹林寺

獅子の背に乗り鎧を身につけ、右手に知恵を象徴する宝剣を持ち、左手には経典を持つ姿が一般的です。頭に経典を収めた箱をのせている場合もあります。釈迦三尊像では普賢通菩とともに脇侍として釈迦如来につかえています。

弥勒菩薩(みろくぼさつ)

12番焼山寺

釈迦の入滅から56億7千万年後に如来となって仏の教えが廃れた地上に現れて、人々を救済するという菩薩。それまでは天井の兜率天(とそつてん)に住んでおり、天人たちに教えを説きながら修行に励んでいる。

14番常楽寺

弥勒菩薩像は兜率天で瞑想にふけっている半跏思惟像(はんかしいぞう)が有名ですが、このポーズが多くみられるのは奈良時代に造られたものです。平安時代以降は坐像や立像など様々な姿が造られるようになりました。

聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)

観音菩薩(観世音菩薩)本来の姿で、十一面観音、千手観音といった変化菩薩と区別するために「聖」の字をかぶせている。

37番岩本寺・69番観音寺・83番一宮寺・85番八栗寺・87番長尾寺

穏やかな表情で左手に蓮華または水瓶を持ち、それに右手を添えるのが基本的なスタイルです。

観世音には「観世音菩薩の名を唱えれば、菩薩はすぐにその声(音)を観じ、苦を取り除く」という意味があります。観世音菩薩には「観自在菩薩」の別名があり、これには「人々を観察し自在に救う」という意味があります。

明王(みょうおう)

不動明王

不動明王は明王の代表的な存在で、大日如来の化身です。

36番青龍寺・37番岩本寺・45番岩屋寺・54番延命寺

仏法に背く悪に立ち向かうために恐ろしい形相をしています。目をカッと見開き、キュッと結んだ口元の両端には歯と牙がむき出しています。(左目が半眼の場合もあります)右手には剣、左手には羂索(けんさく)という投げ縄を持っています。

毘沙門天

仏の世界を守護する四天王の多聞天が単独で信仰される場合に毘沙門天と呼ばれます。北方を守護し多くの夜叉や羅刹(らせつ)を統率しています。

63番吉祥寺

財宝を施す神ともされ日本の七福神の中に入るなど人気が高い。

勇ましい甲冑姿(かっちゅうすがた)が特徴で、片方の手で宝塔を持ち、もう片方の手で矛や宝棒を持っていることが多い。仏法を守護して福徳を授け、憤怒の相を表しています。